さらに重くしたい
![もりもり君第81話](http://www.kakuya.com/morimoriimg/mori-081.png)
社長 こんにちは。
Aさんのことで相談です。
中川 はい、なんでしょうか?
社長 Aさんの横領が発覚し、減給処分にしました。
中川 いくらの減給ですか?
社長 5000円です。
中川 横領はいくらですか?
社長 50万円です。
中川 50万円の弁償は?
社長 返済してもらいます。
一度には無理なので、1年かけて。
中川 そうですか。
それでご相談は?
社長 その後、実は100万円の横領だと分かりました。50万円はうそでした。
中川 どうして100万円と分かったのですか?
社長 経理のB子さんが念入りに調べて発覚しました。腹立たしいです。
それで懲戒解雇にしたいのです。この場合は懲戒解雇OKですか?
中川 どうして、そこまで調べてから懲戒しなかったのですか?
社長 カーと来て直ぐに減給処分と結論を出しました。50万円なのでガマンしようと思って温情的にしました。
中川 ふーん。
しかし、実は100万円だった。
それは許せないから懲戒解雇だ!というのですね?
社長 そうです。
中川 お気持ちは分かりますが、一度処罰したので2回もできません。
社長 え?でも新事実が発生したのですよ?
中川 裁判では一事不再理(いちじふさいり)ということがあります。
1回結審された事件は2回は裁判にかけられません。それは、就業規則も同じなのです。
社長 そりゃあ、わかりますが、今回は新事実がでたのです。だからやり直しです。
中川 でも、会社で調べれば分かるものを調べなかった。あとで、調べたら分かったのでというのは会社の落ち度です。人を裁くのですから、いい加減な対応はダメです。
社長 会社に落ち度があると?
法律は変なの!
中川 今回の場合は、懲戒処分はそのままにしておきましょう。50万円の弁償を100万円にすることはかまいません。
社長 でも、腹立たしい。
中川 であれば、依願退職を待つしかないですね。本人は居づらいでしょうし、それとなく話せば退職願を出してくるかも。
社長 ふーん。部長と相談してみます。
中川 あっと、部長も懲戒処分をしましたか?
社長 え?部長は何もしていませんよ。
中川 何もしていないから懲戒処分をしなければなりません。
社長 はあ?
中川 部長には監督責任があります。それを怠っています。
100万円も横領されていることを気付かないのです。喝を入れましょう!
懲戒処分は一事不再理(いちじふさいり)です。
つまり、同じ事件で二度懲戒処分をすることはできません。
今回の横領の場合は上司に監督責任があります。
上司も懲戒処分をしましょう。
ひとつの事件で二人を別々の懲戒することは一事不再理とは違います。
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